- エンジニアとして働く上で必要なスキルはなんだろう?
- 技術力さえあればエンジニアとして働けるの?
こんな疑問をもつ方に向けた記事を書きました。
技術力はもちろん、私が実際に働き始めてから特に重要なスキルだと感じているのは、ずばり、国語力です。
なぜならエンジニアには、設計書や仕様書等、文章を書く仕事がたくさんあり、また、文章(メッセージ)で業務上のコミュニケーションをとることがほとんどだからです。
この記事では、これからエンジニアになろうと考えている人に向けて、エンジニアに必要な国語力とはどういうものなのか、また、なぜ必要なのかを、現役Webエンジニアである私の経験を踏まえ、具体的な仕事を例に挙げながら解説していきます。
国語力の大切さを知らないままエンジニアになると、せっかく勉強したプログラミングを仕事に活かす前に、つまづいてしまうかもしれません。
エンジニアの仕事が思ってたのと違う。。。なんてミスマッチにも繋がりかねません。
この記事を読んでもらうと、エンジニアにおける国語力の大切さや、エンジニアとして働くイメージを掴んでもらえると思います。
国語力の鍛え方も紹介していますので、興味のある方は参考にしてみてください。
エンジニアに必要な国語力とは
私はプログラミングスクールで勉強後、
30代文系未経験でエンジニアに転職した、
ミドリと申します。
実際に働いている私が思う、エンジニアとして働く上で必要な国語力とは、具体的には以下のような能力を指します。
正しい日本語の文章が書ける能力
「正しい日本語の文章が書ける能力」とは、以下のような基本的なルールが守られた文章を書けることを指します。
- 主語を明確にする
- 指示詞(あれ、それ、これ)をできるだけ使わない
- 「てにをは」を正しく使う
- 「ら抜き言葉」「さ入れ言葉」を使わない
初歩的な内容ですが、
意外にできていない人が多いのも事実・・・
加えて、文末表現を重複させないことや、主語を述語の直前に置く等、読みやすい文章を書く工夫も必要です。
人からの指示や説明を正しく理解する能力
「人からの指示や説明を正しく理解する能力」とは、仕事の説明や指摘をメッセージや口頭で受けた時に、その内容を、誤解なく正確に把握する能力のことです。
指示された業務内容に曖昧な点があったり、説明が漏れていると思ったら、そのままにせず、質問をして正しい情報を得る主体的な行動がとれることも、この能力に含まれます。
これができないと、仕事のやり直しや二度手間に繋がり、
スケジュールの遅れを招くことも・・・・
自分の状況やわからないことを言語化する能力
「自分の状況やわからないことを言語化する能力」は、仕事を円滑に進めていく上で必須の能力です。
例えば業務指示に対して疑問がある場合、今自分がどこまでわかっていて、何がわからないのかを言語化し、質問しなければなりません。
新入社員であっても、1から10まで説明してくれる先輩社員は、ほぼいないと思ってください。
例えば、1から10のうち、5から10を説明されてわからないと思ったら、1から4も説明してほしいと、伝える必要があります。
また、入社してすぐは、日々の業務内容や進捗を先輩社員に報告することもあるでしょう。
自分の任せられている仕事内容、進捗、課題、見通し等を言語化し、伝えられる能力が必要です。
エンジニアとして働く上で国語力が必要な理由
エンジニアとして働く上で国語力が必要な理由は、大きく2つあります。
- ドキュメントを作成する仕事があるから
- 文章で業務上のコミュニケーションをとるから
具体的に見ていきましょう!
ドキュメントを作成する仕事があるから
エンジニアは文章を書く仕事が非常に多いです。
私も実際に働き始めてから、ドキュメント作成に割く時間の多さには驚きました。
開発手法、開発規模、自社開発かSIerかにもよるとは思いますが、ざっと思いつく限り、エンジニアは以下種類のドキュメントを作成します。
- 要件定義書
- 基本設計書
- 詳細設計書
- 各種仕様書
- 業務記録
(補足ですが、上記設計書や仕様書の中に、さらに複数種類の設計書や仕様書があります。)
これらを作成するために、丸一日、エクセルやワードを触っている日もあります。
また、チームでプロジェクトを動かすため、個人のタスクの進捗状況を記録したり、バグが発生した際に発生状況や対処状況を文章で記録する業務があります。
文章で業務上のコミュニケーションをとるから
社会人として「報告・連絡・相談」は基本ですが、エンジニアはそれをメッセージで行う場合がほとんどです。
具体的なシーンとしては、仕事でわからないことを質問する、進捗を報告する、仕事をお願いする、仕事の確認(レビュー)をお願いする、等々です。
みなさん忙しく、日々膨大なメッセージを受け取り、処理しているため、相手に端的に言いたいことが伝わる文章を書くことが非常に重要です。
はじめに結論を書く、箇条書きにする、文章の階層を明確にする、等の工夫をしながら、メッセージを作成します。
仕事を円滑に進めていくうえで、
文章でのコミュニケーションが
エンジニアには必要不可欠なのです
【実体験】国語力ゼロの新入社員が3か月で辞めた話
個人的に、国語力はエンジニアとして働く前にすでに身についていないと、エンジニアを続けていくのは難しいと感じています。
私がそう感じるきっかけとなった出来事を紹介します。
私の勤める会社に、プログラミングスクール卒業後の20代後半の方が入社しました。
ここではAさんと表記します。
このAさんが、壊滅的に国語力のない人でした。
正しい日本語の文章が書けず、日々の日報も、お願いしたテスト仕様書も、先輩社員のチェック後、すべてやり直しでした。
そのため、ひとつひとつの業務に鬼のように時間がかかっていました。
内容よりも、その手前の国語力のところで指導が止まってしまうのです。
先輩社員は不足しているITの知識やプログラミングについては教えられます。
しかし、正しい日本語の文章の書き方は、指摘はできますが、短期間では直せません。
さらに、Aさんが業務指示を正しく理解する国語力が乏しかったのも致命的でした。
自分では正しく理解しているつもりなので、業務指示段階では質問はなく、しばらく進めてから、指示内容と違うことをしていることが発覚するのです。
理解のミスマッチを防ぐ対策として、先輩社員が業務指示を行ったあとに、Aさんに指示内容を説明させることにしました。
ですが、その確認にも先輩社員の多くの時間が取られました。
教育担当の先輩社員は「ただでさえ未経験の人に、国語まで教えないといけないの?」と、毎日疲弊していました。
社会人にとって、国語力は「身についていて当然」という認識です。国語まで教える余裕のある会社はありません。
Aさん自身も、相当なストレスを感じていたと思います。
難解なIT用語が行き交い、スクールで勉強している以上のプログラミングを求められ、日々余裕のないうえに、国語力のなさが追い打ちをかけ、いつまでも仕事が進まないのですから・・・
結局その方は試用期間が延長され、最終的には耐えられずに辞めていきました。
彼の退職は、エンジニアとして働く上で
国語力が非常に重要だということを
教えてくれました・・・
国語力はこう鍛えよう
私が国語力向上のために役に立ったと思うことを紹介します。
国語力に自信ないかも・・・という方がいたら、参考にしてみてください。
新聞や本を読む
ありがちな方法ですが、やはり、正しい日本語の文章を書くためには、正しい日本語の文章を読む経験が効きます。
正しい日本語の文章に慣れると、不自然な文章を読んだときに違和感を感じるようになるからです。
不自然な文章とは、例えば、一文が長い、句読点の位置がおかしい、同じ文末表現が続く、因果関係がおかしい、等です。
そうなると、人の文章を添削できるようになりますし、自分でも不自然な文章を書かなくなります。
語彙力を増やすためにも新聞や本はおすすめです。わからない単語が出てくる都度、意味をググリ、スマホのメモ帳に記録すると良いです。
新聞、本は苦手なんだよなぁ~という人は、興味のある記事だけ読んでみる、ページ数の少ない読みやすい本から読んでみる等、ハードルを下げながら取り組んでみてください。
まずは正しい日本語の文章に慣れることが大切です!
人が読む文章を書く
「人が読む文章」とは、議事録、SNS、ブログ等を指します。
私はエンジニアになる前の会社に在籍中、約400本の議事録を書いたことで、文章を書く基本的な力を身につけられたと思っています。
議事録を書くと、人の説明を正しく理解する力を養えます。
完成した議事録は同席した第三者のチェックを受けると思いますので、自分の理解が正しかったかどうかの答え合わせもできます。
さらに議事録は、文章を要約したり、読みやすい文章を書く練習にもうってつけです。
SNSやブログ等で自分の考えを発信するのも、文章力を鍛えるのに非常に効果的です。
人に読まれるためには、わかりやすく、伝わるように書く工夫が必要不可欠なので、エンジニアの仕事に必ず活きます!
プログラミングに関するやり取りを文章で行う
この方法は、例えばプログラミングスクールに通っていて、インストラクターに質問できる環境がある人におすすめしたいです。
ビデオ通話や対面の口頭ではなく、メッセージで質問や進捗を報告する回数を増やしてみてください。
インストラクターとのメッセージのやり取りは、エンジニアで働くことの予行演習も同然です。
口頭だと、「あれ」「これ」「それ」と言った指示詞を多用しがちです。
指示詞ではなく、プログラミングの用語(例えば、「セレクタ」「プロパティ」「メソッド」「オブジェクト」「インスタンス」等)を正しく使いながら人に説明する経験は非常に貴重です。
これができると、働き始めた時にかなり楽です。
また、文章のいいところは、何がわからないのか、何を伝えたいのか、自分の頭の中を事前に整理できるところです。
「わからないところがわからない」ことって、よくありませんか?
スクールに通っていると、自分がお客さんの立場なので、「わからないところがわからない」まま口頭で質問をし始めても、インストラクターの方は聞いてくれるし、理解しようとしてくれます。
働き始めたらそれはできません。わかるように整理された状態で、人に伝えなければなりません。
ぜひエンジニアとして働く上での疑似体験と思い、メッセージでのやり取りを習慣化してみてください。
最初は、メッセージを作るのに時間もかかるし、口頭で伝えた方が早いし、面倒くさい!と思うかもしれません。
しかし、慣れれば思考の整理にかかる時間も、文章を書く時間も早くなります。
その訓練は、働く上で必ず役に立ちます!
まとめ
エンジニアとして働く上で必要な国語力についてまとめます。
エンジニアに必要な国語力とは具体的には以下のような能力を指します。
- 正しい日本語の文章が書ける能力
- 人からの指示や説明を正しく理解する能力
- 自分の状況やわからないことを言語化する能力
なぜエンジニアに国語力が必要かと言うと、以下のような理由からです。
- ドキュメントを作成する仕事があるから
- 文章で業務上のコミュニケーションをとるから
国語力はエンジニアだけではなく、他の職種でも必ず必要です。
当たり前のことすぎて、職務経歴書で国語力をアピールする人はあまりいないと思います。
裏を返すと、当たり前だからこそ、国語力がないと致命的とも言えます。
エンジニアにおいて必要な能力というと、技術力にスポットライトが当たりがちですが、プログラミングはエンジニアの仕事の一部にすぎません。
企業で人と働くには国語力は必須ですので、意識して鍛えていきましょう!